戸籍上の生存
今さら大騒ぎするような話なのかという。そもそも今に始まった話じゃないから、150歳とか200歳とか言っちゃってるわけでさ。で、150歳だろうが200歳だろうが住民登録がなければ年金支給対象でもないし、行政サービスの対象外だし。戸籍が残ったままでも支障はないだろうと思うのだが。例の、年金不正受給とみられる足立区のケースのようなのはもちろん問題だけどさ。 100歳前後の人は存命な方も多数いるし、遺産相続などで支障があっちゃ困るから死亡届が無い限り簡単には戸籍を消せないという役所の言い分は理解する。でも150歳って単純に考えて終戦の昭和20年で85歳ですからね(逆に言えばその頃までは江戸時代生まれが割と普通に存在したわけだ)。 まぁ、2010年の今となっては大正元年生まれですら98歳だから、明治生まれも相当怪しいわけよ。つまりいても明治末期で、明治30年より前、特に明治前半の生まれはまず、いないんだろうと思う。まあそこも念のため一応残すとしても、明治以前、つまり江戸時代生まれは職権で消除していいと思うのだ。 思うに、江戸末期に生まれ、壬申戸籍が明治19年式戸籍に引き継がれ記載、その後身寄りが無いまま死亡、死亡届が無いので戸籍の上では生きている、いわゆる幽霊戸籍でしょうな。或いは、例えば昭和20年に85歳だったような人が家族諸共戦災で亡くなったけど死亡届を出す親族がいなかった、とかね。まぁ、戸籍を見るって面白いけどね。 例えば、うちの奥さん方の戸籍を収集していく過程で明かになったことだが、奥さんから見て高祖母、つまり祖父の父(Aとする)の母(Bとする)のことだ。この方の戸籍が無く、生没年不詳だった。その方の夫(Cとする)は記載がある。CだけではAが誕生するはずは無いので、Bは必ずいる。なのに出てこない。Cが明治中期に死亡しているので、Bは年代的に同じ明治期に死亡しているのは間違いが無いし、Cが入っている古い墓石にもBと思われる墓誌がある(だから結婚していることもほぼ間違いが無い)が、戸籍には現れない。 仮に、BとCが正式に婚姻していなければ戸籍には現れないのだが、後年、昭和期にAが死亡した戸籍に突然、その母の欄にBの名前が現れる。もし、BとCが結婚していなかったとしてAの戸籍でBの名前が明らかになったとしても、名前だけではなく姓が載るはずだが、名前だけだ。でも、その人の由来がまったく不明。そのように、江戸時代生まれの人々の戸籍って、不備が多い。だから、戸籍上は生まれたことにさえなってもいない、死んでもいないという人が身近にいる中、死んでない戸籍が出てきました、といったところで、不思議には思わない。 戸籍上生きている方というのはおそらく、村で葬儀をやって埋葬もされちゃってるけど、周囲の方々が死亡届を役場に出すの忘れた、とか。そんな感じだと思うんだ。今ほど法的にも厳しくないだろうし、そもそも役場に届け出るという習慣が根付いていたかも明治初頭なら怪しい。病院に入院して亡くなる人が大多数の現代とは違い、自宅で死んで、村の寺にて葬式、というケースが多いはず。医師による死亡診断などというのも無いだろうし。 要するに、そういう、ああ、昔は適当だったよね、という話と、親を生きたことにしておいて年金をせしめて騙し取ろうという話と、全然違うわけでさ。住民基本台帳にいない人の話をさも大問題であるかのように扱いたがるマスコミは一体何がしたいのか。もちろん役所は怠慢だとは思うけどね。でも、年金の不正受給とか、高齢者祝い金とか、そういうのが発生していない150歳、200歳の話を同列に語ってもなあ、という感じ。