ミストラルのベルトの話

ベルトの話を書いたところでツッコミがあったので、ミストラル時代の話を思い出しながら書いてみる。以下は過去に公開していた記事のリライトなので、現在は品番や価格に変更があるかもしれないことを申し添える(だから公開を止めていたのだが、まぁ、せっかく昔のお客さんがチラホラ見えていることだし)。筆者が2006年まで乗っていた最も初期型(1994年式)のニッサンMI・ミストラル、R20-407748。ベルト交換は75000km時と15万km時の二度行い、距離計算上の三度目(225000km)は迎える事は無く約19万km走行した後にATが死亡して泣く泣く廃車にした。 一度目のベルト交換時はディーラーにて購入した純正部品(第二純正)を使い、二度目は部品商から購入した優良部品を使用した。つまり、新車納車状態の純正、第二純正、市販品と3タイプそれぞれを使ったことになる。あの当時かなり突っ込んで調べたのでせっかくだからそれぞれのことを書いておく。 R20ミストラルはその登場時からいわば旧式車であり、基本的なエンジンやシャシーは85年に登場したD21ダットサントラック或いは86年にそこから派生したWD21テラノに(エンジンはTD27BとTD27Tの違いこそあれ)ほぼ相似である。エンジン捕機類は3本のベルトで駆動され、それぞれファン/オルタ・エアコン・パワステであり、別々のベルトでそれぞれを駆動するのはいかにも古臭い(現在では一本のリブベルトで全ての補記類を回すサーペンタイン式が主流、縦置きエンジンであってもファンは電動化されているのが常識)。 ご存知の通りR20はスペイン製であり当然の如く海外製部品も多く使われているのであるが、新車装着時のベルト類に至ってはPITWORK並びにMADE IN JAPANのBANDO(バンドー化学)製であった。R20のベルトの幅はいずれも約13mmなのでいわゆる1/2インチ(プーリータイプがAと呼ばれるモノが12.7mm幅つまり1/2インチであり、JIS規格B1854に定められていることを後に学習する)。いわゆるVベルトであり、ファン/オルタのみコグベルト、他はプレーンなノーマルベルトが使われていた。 R20の各ベルトの純正品番は、筆者の実車に拠れば(価格はパーツリストによる)、

ファン/オルタ ファン/オルタ、PITWORKです。AY16N-CH145(2030円)。

エアコン エアコン、MADE IN JAPANのバンドー製。11920-0F000(1610円)。マイナーチェンジ後はパーツリスト上はAY16N-VH920(1370円)となっている。

パワステ パワステ、同じくMADE IN JAPANのバンドー製、11720-0F000(1240円)。以上がミストラルオリジナル状態の純正ベルトである。

ミストラルのベルトの話2

これが例えばWD21の場合の純正品番(価格)は、

WD21 ファン/オルタ 11720-02N03(2030円) エアコン AY160-VH920(1370円) パワステ AY160-VH14E(1610円)

となる。先述したようにエンジン・レイアウトはほぼ同一なのに結構違うのである(価格も違うがトータルでは何故か国産車であるWD21の方が高い)。この違いは何か、という疑問点が出て来るのは当然の成り行き(というようなことを言うのは筆者だけだろうが)である。TD27系エンジン搭載車のE24キャラバンを念の為に調査すると、

E24 ファン/オルタ AY16N-CH145(2030円) エアコン AY160-VH925(1370円) パワステ AY160-VH145(1610円)

となる。結果はファン/オルタがミストラルと共通、他二本は違う(が価格はWD21と同一)。とりあえず何が異なるのか。 75000km時に筆者が交換したベルト類はディーラーにて車検証を提示して購入したが、このとき出てきた部品は全てPITWORK(第二純正)であった。

PITWORK ファン/オルタ AY16N-CH145(2030円) エアコン AY160-VA355(1050円) パワステ AY16N-VH145(1610円)

つまりAYで始まる部品番号はPITWORKであり、本来の日産純正部品は11で始まる部品番号なのである。ファン/オルタは同一品番、エアコンは全く異なる品番でやや価格が安く、パワステはE24と同一モノと判断できる。つまり、パワステに関しては、

パワステ R20純正 = PITWORK = E24純正

と言えそうである。

ミストラルのベルトの話3

次、15万km走行が近付くその頃、東京(奥さんの実家)に行くことがあって。その当時まだ東京の東雲にしかなかったスーパーオートバックスに行ってみたわけだが、ベルトも結構売っているわけですよ、普通に。当時としてはなかなか衝撃的な光景。アメリカンなパーツショップ的な雰囲気に「ああ、日本もようやくここまで来たか」などと意味不明なことを言いながら(笑)、早速目にしたのは三ツ星ベルトの互換表(良くあるワイパーやオイルフィルターエレメントの互換表のようなヤツね)。ここにはエアコンとパワステが載っていたが、ファン/オルタは設定無しとなっていた。R20/WD21の項を両方見てみると両方とも下記の通り。

三ツ星 ファン/オルタ 設定無し エアコン MPMF-6355 パワステ MPMF-6445

両方ともって事は、つまり少なくともエアコン・パワステに関してはR20/WD21は共通なのではないかということが推測できる(パワステに至ってはE24が同一と証明できているから、3車種ともに同じである)。

エアコン R20純正 = 三ツ星 = WD21純正 = R20マイナーチェンジ後純正

つまりマイナーチェンジ後の品番はそのままイコールなのですな。実質の値下げと考えるべきか。三ツ星の店頭在庫があれば買って帰るところだったのだが、残念ながら在庫無し(従って販売価格は不明)。店員に聞けば「すぐ入りますよー、2~3日で」という返事が来たが、次の日には秋田に帰るわけで。その場はそのまま帰った。 15万km走行を過ぎて「あぁ!純正はバンドー製とわかっているわけじゃんよぉ」ということに今さらながら気が付く。バンドー取扱の商社に聞いて、見積依頼をしてみようと思い立った。NTTタウンページで「自動車部品」ってところを調べて、それっぽい会社、地元のX社に問い合わせる。「バンドーのベルト、ええ、扱ってます」との回答。車台番号だの年式だの車検証のあらゆる事項を聞かれ、念のために純正品番を言って、かなり待たされて「パワステだけは純正の設定しかないですね」という回答。

バンドー ファン/オルタ RPF3445(1960円) エアコン RAF3355(1810円) パワステ 設定無し

どうもちぐはぐだ。三ツ星にしろ、バンドーにしろ、あちらが立てばこちらが立たず。特にバンドーは純正部品製造メーカーなのだから、設定があっても良さそうなもんなのだが。WD21の品番は聞かなかったが、或いはそっちならファン/オルタが載っていたかもしれないが後の祭りである。とはいえ少なくともエアコンに関してはPITWORKの方が安いのでわざわざこれをチョイスする意味は無いな、という感じではあった。唯一、品番を知ることが出来たのは収穫。とりあえず、エアコンに関しては下記で確定だ。

エアコン 純正 11920-0F000 WD21 AY16N-VH920(R20マイナーチェンジ後) PITWORK AY160-VA355 三ツ星 MPMF-6355 バンドー RAF3355

これらは全て互換性があるということである。末尾の数字に注目すると、355って数字に共通する部分があることを知る。これ、長さをインチで表しているんだそうな(35.5インチ)。確かに、幅と長さが合えば使えそうだしな。ということは、バンドーのファン/オルタが445で三ツ星のパワステが445なのだから、コグベルトとプレーンベルトの違いはあれど長さは同じであって。そこから推測するに品番を相互に補完できるかもしれないな、ということを思い付く。品番がわからないとしたらプーリーの幅とベルトの長さを測って品番決めて買うしか無いだろうし、旧車の人とかプーリー変えたりしてる人はそうしているんだろうと思うので、便宜的にそう考えることにした(後で調べると正解だった)。 気分転換でよく行く解体屋に行ってみた。旧型アトラスのものか、或いはキャラバンのものか、それともダットラか、いや、かなり古いテラノのものか・・・外されたNAのTD27エンジンが転がっていた。補器類も付いており、ベルトを見たら全て三ツ星である。ん、エアコンはMPMF-6355、パワステはMPMF-6445で上記の通り(!)、ファン/オルタはRECMF-6450が付いている。三ツ星コグベルトの品番はRECMFシリーズなのか。しかし6455ではなく6450である。つまり「考え」によれば長さが45インチ、 44.5インチより0.5インチ長いベルトというわけだ。まぁ、たったの12.7mmの違いだから1cmくらい余計に張ればこの程度は誤差、ということなのだろう。基本的な考え方は合っているようである(長さに関してはプラスマイナス0.5インチくらいは問題無さそう)。三ツ星におけるファン/オルタの品番は本来の長さで言えばRECMF-6455と言えそうだ。

ミストラルのベルトの話4

ネットで調べたY社に見積を依頼してみる。すると、バンドーと三ツ星の混在で回答が来た。

ファン/オルタ RPF3445(1001円・バンドー)/三ツ星設定無し エアコン PAF3355(805円・バンドー) or MPMF-6355(805円・三ツ星) パワステ RAF3445(910円・バンドー) or MPMF-6445(910円・三ツ星)

劇的に安いので購入することにした。残念ながら期待したRECMF-6455の回答はなかったが、安いのでこれで決定。しかもバンドーと三ツ星が同価格だったので、エアコン・パワステは三ツ星でいこうと決めた。そもそも純正はバンドー製であり、全部バンドーだと純正と一緒で面白くないというひねくれた考えもあり、ファン/オルタをバンドー、他を三ツ星で発注してみたというわけだ。メーカーバラバラってのがまた、がれえじみなかわっぽくていいじゃないかと。

ファン/オルタ2 バンドーです。現物を見れば一目瞭然だが、純正のそれと何ら変わらない。が、価格は純正の半額。

エアコン2 三ツ星です。材質はバンドーとはちょっと違う気もするが、純正採用しているメーカーもあるので品質は純正そのもの。価格も少し安い。ファン/オルタはX社の半額近い安さである。エアコン・パワステもX社よりY社が安い。Y社というのが東京ラジエーター大館で、ここに今に至る付き合いが始まった。私の素人臭いやり取りに付き合っていただいて大変恐縮ではあったが。

ベルト おそらくはバンドーのベルトは純正も優良部品も同じモノであろう。日産マークと日産の品番が入ればそれが純正部品となるわけだ。俗に純正納入部品は市販品より検査が厳しいなどという話があるが、筆者個人はそういう話は迷信だと思っている。自動車メーカーの方を優先して自社ブランドに傷が付くようなことをやるはずが無いということ、製造・検査ラインは設備やコストの関係から同じであろうこと、そして、筆者自身が色々使ってみて得た結論は「優良部品は純正部品の品質水準である」ということである。それでいて価格が安いならそれに越した事は無い。

ミストラルのベルトの話5

純正部品の価格が高い理由はおそらく中間に部品販売会社/在庫管理会社/倉庫を兼ねる日産部品販売のような会社が存在するからであり、販売管理費や倉庫代といったマージンが発生するからである。納期が短い分、価格が高いのはある程度仕方ないが、半額近くで純正品質の部品が買えるのであれば注文してそちらを待つことを選んでもいい。現実に部品商がこういう商品を取り扱っているということは、ディーラー以外の整備工場やガソリンスタンド、カー用品店ではそういう部品を使用して交換なり販売を行っているわけであり、それを使って問題になるようならそういう部品を取り扱わないと思うのである。 自分で換えなくても整備工場に「純正ではなくバンドーや三ツ星の"優良部品"を使ってくれ」或いは自分でベルトを買って「これを使ってくれ」と言えばもっと安く上がるはずであるが、純正部品にある程度の保証を付けているディーラーはそれを使うことによって整備保証が出来なくなるから嫌うだろうし、おそらくそれをやらないだろう。従って筆者はこれを薦めるものではなく、あくまでも個人的な趣味で調べた結果を載せているに過ぎず、それを使ったからどうのこうのという責任は負わない。まぁ少なくとも筆者自身のクルマを自らベルト交換した結果問題は発生しなかったし、安く上がって大変満足だったし、この応用は後にオヤジのクルマWFY11や奥さんのクルマK11にも活きているし、ここの話にもつながるわけだ。 自動車メーカーに対して言いたい事は、せめて取扱説明書とまではいかなくても、整備要領書等の整備データにはベルトの幅と長さを書いておいて欲しいということだ。つまりタイヤサイズとか、指定オイルとかのように。そしたらすんなりとわかったことなのだが。 バンドーも三ツ星も、パッケージには"JAPA推奨自動車優良部品"というマークがある。よってこれらは"優良な部品"に間違いない。そしてバンドーや三ツ星の「互換表」によれば、上記のとおり一部のベルトが載っていなかったりする可能性が有るし、部品商各社に見積をとっても全部が一回ですっきりとした回答を得られたわけでもない。だから、ここで調査したこの結果はある意味貴重な資料であると自負しているが、今となってはほとんど役に立たない。