ミストラルのカップキットの話1
言い出しっぺにつき。以下はベルトの話同様、過去に公開していた記事のリライトなので、現在は品番や価格に変更があるかもしれないことを申し添える。エイシンは会社すらないので廃版だし(笑)。 筆者はミストラルで15万km走行までの間に実は一度もカップを交換しなかった。もちろん目視点検して異常が無かったからという結果である。漏れは無かったが、距離もさることながら10年過ぎたときに、さすがにゴムも劣化するであろうと交換することにしたのだが、今にして思えば3年で劣化するエスクードのカップの件もあり、漏れて無くても交換しておくべきだったかもしれない。まぁ、そうやって学習していくものなのだ。 さて、ミストラルのリヤブレーキはLT26B型というドラムブレーキである。古くは日産の最高級車プレジデントにも採用された由緒正しいドラムブレーキであり、車重のあるミストラルにはこれしかないといったところなのだろう。ピストンシリンダには二種類あり、筆者のそれはトキコ製であったが、ナブコ製もあるらしかった。車検証の類別区分からはわからんので要現車確認と言うヤツで、ドラムを開けてみないとわかんないわけである。これはオヤジのWFY11ウイングロードもそうで、こっちもトキコだったがナブコのクルマもあるらしい。さて、シリンダーの他、カップにもトキコの印があるので、純正はトキコに間違いない。純正はこれ。
ミストラルのカップキットの話2
で、入手したのはミヤコ製。
約2割引きなので、純正買っても値段はほぼ一緒だったが興味本位で"優良部品"ってのに最初に手を出した記念すべき第一号がこれだった。純正部品番号D4100-F2993の他、D4100-F2991の表記もある。プレジデントやセドリックと共通ということがここでもわかる。
それにしてもダッサンとは何ぞや?ダットサンのことか?(笑)ミストラルなどという表記は一切出てこないことに注意したい。もちろん、何の問題も無く使えたし、個人的には満足した。
ミストラルのオイルフィルター(カートリッジエレメント)の話
オイルエレメント、またはオイルフィルタなどとも言うが、これは思うに油脂類など液体を除くとおそらく最も寿命の短い自動車部品ではないか。もちろん純正部品が良いのは疑う余地も無いが、寿命が短い(つまり交換回数が多い)わけで、同等の性能を持つ"優良部品"でもその役割をきちんと果たせるならばそれでいいし、何より価格が安いに越したことは無いというのが筆者の考え。 オイルエレメントに関してはかつては純正部品を買ってもカー用品店で同等品を買っても価格に大差が無かった。純正部品ならマーチ用が980円前後、ミストラル用が2980円前後というのが相場だった。しかしその常識を覆したのが当時のエイシン(既に倒産している)だった。マーチ用CO-230は380円、ミストラル用CO-226は1140円となかなか衝撃的な価格で、これは純正部品やオートバックス等カー用品店での同等品の約1/3の価格であった。JAPA推奨マークは無いので"優良部品ではない"が、どうせ使い捨てる部品である。使ってみて問題がなければこの価格は大歓迎というわけで試してみた。 時期によってはさらに特売があり、筆者は当時マーチ用CO-230を10個で1600円(1個あたり160円)、ミストラル用CO-226を10個で4100円(1個あたり410円)にて購入、これは当時の相場で純正の約1/5である。つまり、俗にオイル交換2回に1回と言われるオイルエレメント交換を毎回やっても元が取れる、それどころか安いのだ。たった3000~5000km程度にしか使わないパーツに数千円使おうと数百円で済まそうと、もちろんそれは人それぞれだが、私は安い方が良い。5倍高いのを15000km使うか、1/5の価格のを3000kmのスパンで換えるか、どっちもコストは同じである。これなら毎回換えてもいいと思ったし毎回換えていたように思うが、廃車したときに数個余ったんだっけ。
マーチ用、型番CO-230。純正15208-53J00、第二純正(PITWORK)AY100-NS005などの品番も併記してある。
ISO9002取得認定工場の製品だとあるので、何も問題は無いだろう。製造品質は純正部品レベルに達していると思われる。
-1- -2- -3- -4- と一周に4つの丸付き数字が振ってある。“フィルタが取り付け面に接してから3/4回転させよ"等と純正部品の説明書には書いてあるわけだが、つまり今見えている数字の前の数字まで回すことによってそれが実現できるという優れた塗装であり、目視で簡単にわかるという工夫である。これは純正部品より優れた” 機能"であるといえる。しかし残念ながらそのような表記が無い、この製品の箱には「説明書き」は何も無いのだ。果たしてこの"機能"に気が付いた人はいるのだろうか。それにしても仕上がりが綺麗である。バリも無いし単なる安物ではない、結構ちゃんとしてる。
ミストラル用、型番CO-226(当時、青は旧品在庫品、新型は黒でNO-15になっていた)。純正15208-20N10などの品番も併記してある。
該当車種にはミストラルが記載されているが、TD27Bの表記は無い(実質TD27Tなので問題は無いが)。
マーチ用同様にISO9002取得認定工場の製品だとある。“JAPA推奨自動車優良部品"ではないが、製造工程上は信用できる製品だろう。このエレメントにも-1- -2- -3- -4- と一周に4つの丸付き数字が振ってある(ミストラルの場合は装着の際は全く見えないので意味が無いが)。
さて、使ってみての感想。何も問題は無い。マーチ用、ミストラル用共にオイル漏れは無いし、取り付け取り外し時の不具合も無い。もちろん取り付けに際しては、ゴムパッキンに新しいエンジンオイルを塗布することが重要。エレメントを分解してみたところでどれだけのゴミを濾過しているのかなんてわからないから性能の差は不明だが、交換の際にはエレメント内部にオイルが溜まっているので、おそらく仕事はしているのだと思われる。どうせ廃油は真っ黒だし。
高い純正部品を延命するのと、安い部品を頻繁に換えるのではどちらが良いのか・・・筆者なら後者を選ぶ。もちろん、性能をきちんと満たしていることが条件だが。でもこれだけエレメントが安かったら、その分少しでも高いオイルを入れてやった方がエンジンにとっては遥かに幸せな気がする。
当時使用していたオイル交換の道具一式。住鉱SLα10W-30SL/CF20L缶と、ドレンボルトを外す22mm/24mmKTCメガネレンチ、オイルフィルターレンチなど。オイルはSL/CF等ガソリンディーゼル共用タイプだとマーチとミストラルの両方に使えて都合が良かった(現在はディーゼル車を保有していないのでHAMPの10W-30SM20L缶を使用中)。昔は一番使用頻度が高かった気がする22mmのメガネの出番は現在ではほとんど無い、まさにミストラルのオイル交換のためだけに使っていた工具のようなものである。
マーチのドレンは14mmで、エスクードのドレンは17mm。現在のクルマではカップ式のオイルフィルターレンチが必須である。当時使用していたオイルフィルターレンチはその当時で10年以上使っていたものであるが、横から引っ掛けてぐいっと回す"外し専用"工具で、ミストラルの場合これが無いと外すのが至難の業だった。後述するフューエルフィルタの取り外しにもこの工具は活躍。
ミストラル用、NO-15を使用した後に分解してみた。
バイパスバルブのスプリング(リリーフバルブ)が右下に見える他、カートリッジの中からは二つのオイルフィルタが出てきた。つまり2連濾紙式というわけでPIAAもびっくり「凄い」エレメント。製造元が同じ可能性もある。案外、高性能なんじゃないの?
カートリッジそのものはかなりしっかりした造作であり、構造的にも何ら問題無く、濾紙も内部構造もしっかりしていた。濾紙には固形物が確認できたので濾過能力も問題無いと思われた。これは廃車までの間に数個使ったが、全く問題は無かった。これでも5倍の値段の純正を使うべきだ、と思う人はそうすればいいし、これでいいや、と思う人はそれでもいい。人それぞれ。まぁ、今はこの値段で買えないし、もう販売元も倒産しているんだけどね。
ミストラルのフューエルフィルタの話1
ホームセンターやカー用品店にこの部品を売ってのを見たことは無い。従って純正品を買い求めるのが普通であると思うのだが、換えるに当たって当然のように互換品を調査するのが当時の筆者には当然のこととなっていた。
純正 フューエルフィルタ 16403-59E00(4900円) Oリング 16406-05E00(140円)
純正はOリングが別部番で、両方でおよそ5000円である。 フューエルフィルタやオイルエレメント同様にその筋の専業メーカーが作っているはずで、地元部品商で見積を取ってみたら東洋エレメントの在庫があるという。
フューエルフィルタ FG-2463(3430円)
まぁ、純正よりは安い。次にエイシンを調べた。
フューエルフィルタ NFC-3(1870円)
圧倒的である。イマイチであっても交換推奨の2年は持つのではないかと、駄目元で発注してみた。
納品されたNFC-3。FOR NISSAN 16403-59E00該当の文字がある。“メカニック"ブランドですか?大胆というかなんというか。
輸入発売元にエルネットとある。ロータス系の商社か?
PL法を意識したものか、よくわからない品質保証のマークとTUVのマークがある。TUVはテュフと読み、ドイツの安全規格である。TUVに認定されているのを信用すれば、ISO同様に一定の品質レベルにあると言える。
デイーゼノレ(でいーぜのれ)と読める気もする、いかにも怪しげな100%輸入品であることを主張するフォント。パッケージを見る限りはあまりにもいかがわしさ炸裂で、大丈夫かよこれと思ってしまう。
オイルエレメント同様にISO9002取得認定工場の製品だとある。同じ工場で作っているのだろうか。
シルバーのボディ。予想に反して、フィルタ本体の印字フォントは極めてまともである。Oリングが付属していたのでラッキー。
部品番号は16403-59EX0とある。む?純正部品番号は16403-59E00ですぜ。印字してある一字一句、説明絵図の内容、フォントは違うものの、純正と全く同じである。
明確な違いは日産マークと日産純正GENUINEの文字が無いだけ、形状で言えば中央部のスリットと色(青と無塗装)が異なる。これをどう判断するか。つまりこれは純正部品納入メーカーの製品である可能性と、純正部品に準じて(悪く言えばパクリ、デッドコピー)作られている可能性と、二つに一つと考えるのが自然。ISO/TUV認定なら或いは純正パーツを作るメーカーの製品かもしれない。使ってみての感想は何も問題は無く、燃料漏れは無いし取り付け時の不具合も無かったし、取り付けて以降廃車まで不具合も無かった。
ミストラルのフューエルフィルタの話2
この話を書いて公開したのが2004年3月のことだ。そして、2004年6月、福岡県にて自動車の整備事業を営んでいらっしゃるというKさんからメールを頂いた。つまりプロ。筆者に本職の方からのメールは初のことで、それはうれしかったのを覚えている。 当時Kさんの承諾を頂いたので、ここにメールのやりとりの一部を引用、再掲載する。ちなみにこの方はTD27TのE24キャラバンに奥さんはCG10DEのK11マーチ、と、何かと共通点があり、そのことがメールを書くきっかけとなったとか。
あっそうそう、TD27のFUEL-Fを私も交換したのですが、 日産純正のFUEL-Fは現在、青塗装をしてなくて金属色(シルバー)です。 エレメントケースにスリットがあったような、なかったような・・・・・ もしや!と思いました(笑)
む。マジで?で、メールのお礼を含めて、翌日に早速いろいろと返事を書いて、その翌日、このような回答を頂いた。
報告があります。日産純正のディーゼルエンジン用FUEL-Fは、 みなかわさんのミストラルに装着しているものがそのまま純正品です。 違うのは化粧箱だけ・・・ 確認しました。純正を購入した私には残念な現実です(笑) 私たちでもそういった情報はなかなか入りませんから・・・
疑い深い(笑)筆者は早速、
1.その「純正部品」の番号は16403-59E00の印字になっているのか。 2.そこに日産マークと日産純正GENUINEの文字があるのか。
この2点について質問をした。10を知るなら12を知れ。8を知って10を知ったふりは出来ない性分なのだ。またまた翌日にこのような回答を得た。
私が燃料フィルタを交換したのが去年。 純正の燃料フィルタしか購入したことのない私の車についているものは 『16403-59EX0であり、nissanの文字すらないもの』 みなかわさんのHPにアップされている写真のシルバーのものと同一のものです。
つまりこうだ。
NISSANの文字のない全く同一の部品が「純正部品として供給」されている事実。 その純正部品はシルバーで無塗装であり、部番も16403-59EX0である。 プレス形状から言っても、また、部品番号から言っても同じものである。
以上3点をプロが確認した。つまり入っている箱だけが違うのだ。ということで、これは100%同じモノであろう。Oリングも付属していたとのこと。エイシンで売っていたのはなんと純正部品そのものだった疑い。しかも63%OFFで! その後のKさんからのメールで、TD27TのE24キャラバン用純正部品(全く同じ部品)としてのフィルタをわざわざ新規に発注してみたそうである。しかし納入された部品は純正としてのPITWORK製の部品、AY500-NS001だったそうだ。つまり、その時点では純正を指定してもPITWORK製が出てくるようになってしまったらしかった。 Kさんのご好意により画像データを頂戴したので、当時掲載したモノを再掲載する。
日産純正の文字が見える化粧箱に入った、PITWORK製フューエルフィルタAY500-NS001。蓋の部分には該当部番として日産の他、東洋エレメントと日東工業の部番が見える。純正部品の箱に互換部品の部品番号があるということは日産自身が「何を使っても同じですよ」と言っているようなものではないのか?
なお、純正の場合はOリングに対して別の部番があり、従って別売りの可能性が高いと筆者は書いたが、これにもOリングは付属していないそうである。
印刷内容の説明は若干異なるとのこと。しかし、部品はシルバーで無塗装でありプレス形状はエイシンのNFC-3(16403-59EX0)とかなり似ていて、スリットが入っている。或いはこの部品と全く同じモノかもしれない。
日産純正を示すNISSAN MOTOR CO.,LTD.の文字の他、MADE IN THAILANDの文字があることから、タイ国製であることが判明。
従って、純正部品は何とタイ国製というオチ。それならMADE IN JAPAN信者なら、東洋エレメントなど「社外品でも日本製の部品の方がいい!」という話にもなりかねない。筆者は「社外品がよろしくないなんて不毛な話だ」と書いたが、これが現実なのである。
タイ国製の純正をまともな値段で買うか(もしかしたら全く同じモノかもしれない)似たような輸入部品を半額以下で買うか。それとも、歴史ある日本メーカーの社外品をそこそこの価格で買うか。この現実をどう考えるか、もちろん各個人の自由。
ミストラルのフューエルフィルタの話3
再び、Kさんからのメール。
と、言うわけで、 とても楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございましたm(_ _)m 一連の純正フィルタについて、みなかわさんはどう見ますか?(^^;) 私は今後、お客様の車両に『東洋製』を使用しようと思っています。 性能にはなんら変わりないかもしれません。 が、日本の品質管理は、まだまだ他国とは格が違います。 タイの技術も向上してるとは思いますが、 私達、安全安心を提供する者にとってMADE IN JAPANの文字列は 一般の人が判断するための唯一の情報ですし、それが、 お客様へ信用を与えると考えます (取り付けた私自身が安心していられるから?かも・・・(^^;)) 本当に色々と勉強になりました。
この話でのKさんの結論は、日本メーカーの社外品の「日本製の」互換部品は海外製の純正部品に勝る、というものであって、それはプロとして正しい・・・というか、一つの判断であろうと当時思ったものである。プロが通常の購買ルートでまともな社外品が手頃な価格で買えるなら、わざわざ怪しげなモノに成り下がった高価な純正部品を使う理由もないというわけ。
ミストラルのフューエルフィルタの話4
筆者はこういった現実を実際に体感し、ますます「消耗部品に限って言えばどこのモノでもいいんじゃないか」つまり「純正部品がそんなもんなら何を使ってもそこそこ同じレベルかも」「モノによっては純正より社外のMADE IN JAPANの方が信用できることがある」って考えにSHIFTしたわけである。 もちろんこのあたりはプロとアマチュアの違い、つまり保証や予算の問題もあろうし、お客さんあってのことだから単純に自己責任100%ともいかないわけで、そういう部分も加味しなければならない。が、DIYで楽しむレベルにおいて、その程度のことなら安物でいいや、とか、そういう話の流れがこのときに出来たような気がする。 Kさんのようなプロの中にも一定のポリシーのある人でも無い限り、普通はプロであっても(無論ディーラー工場なら問答無用に)純正部品であろうし、一般的にも「純正を使っとけば良いんだ」といういわゆる固定観念のようなものもあるとは思う。もちろんそれを否定するものではない。が、こういう例もあったよ、と言う昔の話。 いずれにしても純正部品だから絶対に良いモノであるという、いわゆる純正神話は崩壊したといっても過言ではないかと考える発端となったKさんには最後までとことん付き合っていただき、当時も厚く御礼を申し上げたが、今回改めて感謝する次第(もう覚えてないだろうけど)。ところで、筆者が買った怪しげな輸入フューエルフィルタと、PITWORKのフューエルフィルタ、いずれにしても青い塗装を廃したのはコストダウンのためなのだろうか?或いは環境配慮か?だったらオイルエレメントも無塗装でいいんじゃないの?って気もするのだが。