安堵

遊具の緊急点検費用300万円が調達できないため閉鎖されていた大森山遊園地の再開の見通しが立った。施設と遊具一式を約2500万円で大阪市にある遊具メーカー豊永産業に売却、同社が運営を引き継いで来春にも再開させる方針がどうやら決まったっぽい。豊永産業は大森山遊園地のジェットコースター「キリンたいようくん」の他、観覧車など6種類の遊具を建造、納入しているメーカーだそうで、とりあえずは良かった。今年いっぱいはリニューアルに時間をかけてほしい。 繰り返すが、しょぼい遊園地である。冬季は閉鎖を余儀なくされるし、営業面ではキツイはずだ。そこに救いの手を差し出した豊永産業は大阪のメーカーだけに浪花節的な決断、おそらく直接の原因は「キリンたいようくんへの親心」であったに違いなく、秋田市民の一人として敬意を表したい。今までの運営会社・浜田観光曰く、魁紙によれば「収支トントン」だったというから、閉園の原因となった遊具点検費用については自社で点検ができれば圧縮できるだろうし、やりようによっては利益も出せるだろう。 キリンたいようくんはジェットコースターとはいえ、2歳から乗れる設計のため、最高時速27km/hという「安全な」乗物である。それゆえ世の中の絶叫マシンに比べてはあまりにもしょぼく思えるが、同じ土俵で比較すべきものではない。2歳から乗れる、子供が楽しく乗れる、というところに最大の存在意義がある。いくらしょぼくてもそういう遊園地は必要だと思うし、ネズミーランドに莫大な旅費をかけて行って何時間も並ぶより、毎月のように実際の動物キリンを見せて、キリンたいように乗せてやることの方が何倍も幸福であると思うのだ。 だって(経営者が変われば価格改定もあるかもしれないが)数百円だよ?今や、数百円で買える「夢」なんてそうそう無いと思う。自分が子供の頃はキリンたいようくんはもちろん無かったけれども、電気カートで遊んだ記憶は鮮明に残っていて。子供心に楽しかったんだよなぁ、あれは何歳の記憶なんだろう。「木内の屋上」なき今、大森山は絶対に存続して欲しい。子供が産まれてからのことだから本件の推移はずっと注目していたのだ。 キリンたいようくんというのは、実際に大森山動物園にいたキリンの子供である。大森山で生まれて間もなく、残念ながら骨折してしまう。野生においては骨折したら立ち上がることができず、命を落としてしまうキリン。競争馬同様にいわゆる予後不良、安楽死処分とするところを動物園職員の頑張りはもちろんだが、たいよう自身が頑張って義足を付けて立って歩くまでになった。残念ながら最期は10ヶ月足らずで死んでしまったが、秋田の動物園に義足のキリンがいたという話は全国的に一時有名になり、感動を呼んだ。 遊園地はその名を残すため「キリンたいようくん」を設置、たいようは新しく遊具に「生まれ変わった」のである。それが昨年春のことだった。たった1年で「再び死にかけた」たいようくんを三度死なせることのないように長く続けて欲しいと切に願う。もちろん息子が乗れるようになったら真っ先に乗りに行くつもりだ。